【この物語はフィクションです】
「おばあちゃん、何してんの〜?」
子供の頃はおばあちゃんっ子だった俺。
よく休みの日には家に遊びに行っていた。
いつも楽しそうにしているおばあちゃんを見ると、落ち込んでいる時もたちまち元気を取り戻す。
そんなおばあちゃんとの忘れられない会話。
今でも鮮明に覚えている。
「おばあちゃん。オレな、みんなからすごいって言われるようにガンバル!」
「お〜、そうかそうか、それは楽しみやな〜」
「うん、ほんでな、おばあちゃんみたいに元気いっぱいの人になんねん!」
いつも元気をもらっていた俺はいつかはおばあちゃんみたいになりたいと思っていた。
そして、それは今でも変わらない。
「それはいい人になるんやな〜。じゃあおばあちゃんがいいことを教えてあげよっか?」
「なにそれー??」
「魅力的になる秘訣や。」
「みりょくてき??」
当時は4歳くらいだった俺が当然「魅力的」なんて言葉も知るわけもない。
「そうやで〜、そしたらな、みんなからすごいって言われるし、元気をあげれるええ人になれるんやで。」
「えーー、おしえて〜。はやく、はやく。」
「まあ、そう慌てない慌てない。その秘訣はな、、、」
「うん。」
「歩いてたら道を尋ねられる人になることやで。」
「みちあんないするのー?」
「そう、でもな、大事なのは道案内をすることだけやなくて、道を尋ねられることなんよ。」
「へー、そうなの?じゃあオレそんな人になるようにガンバルな!」
「いい子やね〜、将来が楽しみやわ〜。」
今はもうおばあちゃんはいない。
きっとどこかで俺を見守ってくれているに違いない。
あの時はおばあちゃんの言っていることがわからなかった。
でも今ならわかる気がする。
道を尋ねられるってことは、
愛想が良くて、
身なりも良く、
姿勢もきちんとしていて、
にっこりしているんだけど、どこか頼りがいのある、
道を教えてくれそうなしっかりした人
そんな感じの人のことを言っていたんだろうな。
「あの〜、すみません、、、」
「はい、どうしました?」
そんなことを考えていたら女の人に声をかけられた。道に迷っているみたいだ。
おばあちゃん、オレはちゃんとおばあちゃんの言った人になれてるよ!
一生忘れられない、おばあちゃんの言葉だった。
コメントを残す