部屋を掃除していると、懐かしい手紙たちを見つけました。
その中に、今でも鮮明に覚えている思い出があるのでここでシェアしようと思います。
最初の印象は
「こいつ絶対俺に不信感持っている」でした。
彼が塾に入ったきたのが去年の年末。中学3年生でこの時期に入ってくるのはさすがにきついものがありました。
さらに受験校は愛媛県内の高校。僕が勤務している校舎は奈良県内なので、問題の形式も入試の仕組みも違う。
それにプラスして相手からの不信感、、、なかなかきつかったです笑
なんとか彼との接点を見つけようとして、野球が共通点だとわかりました。しかし僕が野球をしていたことを信じてくれない彼。
それでもめげず、一度担当になったからには全力を尽くすしかない、そう決めました。
形式が違う過去問を研究し、受験の対策を練って、授業の組み立ても徹底していく日々。
自分でもよく頑張ったなと思います。あの時はただその子のために頑張りたい、ただそれだけでした。
当初は数学だけだったのが、英語、国語、社会、理科、と5教科全てを担当することになり、僕に対するプレッシャーは半端ないものでした。
この子が落ちたら責任全部おれやん!! この時は必死にやろうという気持ちと、恐怖とで入り混じった感情でした。
僕と彼の努力が実ったのか、彼は見事合格を勝ち取ってくれました。
ほっとする僕。
報告後の最後の授業、僕は彼に作文を書いてもらうことにしました。題は本人の好きなテーマでいいよ、と紙を渡し、提出先は塾長にね、と伝え授業を終えました。
授業後、塾長から一言。「これあげるわ。」
それは僕が彼に書かせた作文でした。
題は彼の好きな野球でもスポーツでもなく、「インキャの久次米へ」となっていて中にはこう書いていました。
『初め見たとき、絶対にインキャで嫌やと思った。
塾に入って色んな先生に教えてもらえると思っていたのに、授業は毎日変なヤツで、メンタル的にきつかった。
先生が休みの時は正直、他の先生の授業を受けられていいと思った。
でも、先生の方が安定してたし、教えるのも上手くて俺のためにいろいろしてくれてるのを感じた。
さっぱりわからん数学も先生のおかげでわかったし、結局5教科全部教えてくれてびっくりした。
最後に、全然出来んかった俺に一から教えてくれてありがとうございました。受験に合格できたのは久次米のおかげです。
俺も3年間頑張ってくるから久次米もこれからがんばれよ。ちょっとの間やけどお世話になりました。』
この時の気持ちはいまでも覚えています。涙を堪えることができませんでした。
僕が必死にしてきたことがちゃんと彼に伝わっていたんだ、今までの努力が無駄ではなかったんだと。
自分が生徒のことを信じ、思い、努力をすればそれは必ず生徒が肌で感じ取ってくれます。
それを身をもって体験した日でした。
そんな思い出たちが今の僕を突き動かしてくれています。
僕が担当した生徒が受験に合格するだけじゃなくて、高校や大学、社会人になっても活躍できるような、そんな風に育てていきたい。
掃除をしていて思わぬものを発見して、自分を振り返るいい機会になりました。
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