コーチング、特にスポーツ関係でコーチングをする時には選手と指導者の一体感が重要になってきます。
選手と指導者のそれぞれのイメージが違っていたり、その間でズレがあると不信感ができたり、誤解が生まれたりするでしょう。
今回はストーリー風で書いてそのあとに解説を加えてこうと思います。
(設定は野球のコーチにしていますが、他のスポーツでも同じように考えてください。)
そして、どこをどういう風に改善したら良かったのか是非みなさんも考えてみてください。
ある高校野球の監督である中島は冬の練習メニューを考えていた。
毎年しているし、こんな感じでいいか、とメニューを組んだ。
メニューは午前で
10メートル走10本
30メートル走10本
100メートル走10本
そのあとにタイヤ引き
午前の締めでノックをしようと決めた。
その練習を発表したあとに、聞こえるか聞こえないかの声で選手たちが不満を漏らしていた。
中島は聞かなかったふりをしていたが、選手たちはかなり不満だったようだ。
選手のひとり、加藤は
「なんでそんなにもやらせるん、意味ないやん。」
と不満たらたら。それにつられて他の選手も不満を言いはじめた。
そんなことはお構いなしに練習を続けさせる監督、中島。途中で足がつったという選手が現われた。
それでもひとりだけだろうと中島は練習を続ける。
結局午前中のメニューが終わり、午後に入る。昼からもランメニュー中心の練習だ。
途中で軽くバッティング練習をはさんで、最後に丸太投げと丸太ダッシュで練習は終わらそうとしていた。
選手たちは耳を疑った。
「丸太ダッシュ???」
あんだけ走らせといて最後に丸太ダッシュ?あいつ俺たちを殺そうとしているのか。選手の中で殺意に似たものが芽生えた。
もう足はボロボロ。朝にあれだけ走ったのだから当たり前だ。
しかも、丸太を持ちながらのダッシュは何のための練習かわからない。しかし、逆らえない選手たちは黙って練習メニューをこなすしかなかった。
結局練習をなんとか終わらすことはできた。中島はあっさりと帰ってしまったが、選手の中ではずっとわだかまりが残っていた、、、
さて、これほぼ実話なんですが、この監督の行動でしてはいけないこと、しないといけないのにしていないことがたくさんあったかと思います。
この話では選手の気持ちが書かれてあるので比較的考えるのは簡単だと思いますが、それでもどうしたら良かったのか、は考えないといけません。
あなたなら、どの部分をどういう風に改善しますか?
考えてみましたか?
、、、、、、、、
ではいきましょう。
この場合、僕が考えられるのは以下の3つです。
①練習メニューの根拠、理由付け
②選手と監督(コーチ)とのズレの修正
③コーチング力の欠如
①練習メニューの根拠、理由付け
監督の中島は練習のメニューの理由をあまり考えないで決めていました。
【毎年しているし、こんな感じでいいか、とメニューを組んだ。】
これは一番危険なことです。
指導者の中には「いつもやっているから」や「自分たちもやってきたから」と言ってその知識を押し付ける人達がたくさんいます。
しかし、自分たちがしてきたからといってそれが正しいなんて保証はどこにもありません。
詳しいことは指導者に必要な五つの要素〜⑤時代〜で書いていますが、
時代とともに今まで良かったものが実はよくないものだったことが科学の力で判明したり、世界が変わっていくにつれて、もう既存のものでは対応しきれない、といったことがあります。
だから常に指導者は学ばなければならないんです。
常に上を目指しているからこそ、その人から学ぶ価値があります。
そしてそれを防ぐためには理由付けをきちんとしておかないといけません。
なぜこの練習をするのか?
この練習をすることでどんな効果が得られるのか?
ちゃんと理由を説明することができるのか?
相手が小学生低学年以下ならまだしも、中学生、高校生になると自立したひとりの大人としての成長が始まっていますから、
理由もないものをすんなり受け入れづらくなります。
ちゃんと論理的に正しいものでないと納得できません。
この監督には理由を考えた上で練習メニューを組めていなかった点と、その理由を説明しきれなかった点に改善点があるでしょう。
②選手と監督(コーチ)とのズレの修正
2つ目がズレの問題。
これが今回の記事のメインテーマとなるんですが、選手と指導者とのズレがあるのがわかるでしょうか。
選手は朝からランメニューを終えています。それにもかかわらずまだ続けてさせようとする考えに指導者の甘さを感じます。
選手が朝の練習を終えてどういった心境なのか
身体状況はどんな感じなのか
そういった指導者のイメージトレーニングが必要です。
自分がそのメニューをしているところを想像して果たしてできるのかどうか。
特に野球になるといまだに根性論や精神論で押し通そうとする指導者を見かけます。
(ぼくの高校のときの監督もそうでした。)
それではもう太刀打ちできない、ということをしっかりと頭に入れておいておく必要があります。
選手以外にも指導者もイメージトレーニングは必要です。
このイメトレは練習メニューを作る上だけでなく、例えば選手の状態を知るために、いい状態の選手を頭に入れておいて、頭の中でイメージすることにも使われます。
つまり、現時点の選手がいい状態のときと違うかどうかを頭で考えるのにも必要ということです。
最後に
③コーチング力の欠如
コーチングとはなんでしたか?
コーチングとは自ら考える力を身につけさせることです。
ストーリーの中では監督の一方通行でした。
選手の意見もなにも聞かず、せっせと練習をこなさせていく。
これでは不満が出るのは当たり前でしょう。
選手の中で考えさせる時間を作る。
自分で考えて納得したものは進んでしてくれます。
一方通行ではなく、相互関係を大事にしていく。
こちらの記事がより詳しく書かれていますのでよければ見てください。
指導者に必要な五つの要素〜③教えるスキル〜
はい、以上3点が大きな改善点だと思います。
そのほかにもあるかもしれませんが、もしこんなこともあるのではないか、という意見があれば是非コメントしてください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
(途中で貼ってあったリンクをここでもう一度載せておきます。)
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