【この物語はフィクションです】
もうすぐ新しい1年が始まろうとしている。
年末は忘年会で忙しい。今日もサークルの忘年会で飲んでいた。
開始して1時間した頃に1人の後輩が声をかけてくる。
「ゆうきさん、久しぶりですね!」
彼は同じサークルの2回生の後輩だが、最近顔を見ていなかった。会うのは確か、6ヶ月ぶりか。
「久しぶりやな、元気にしてたか?」
「まあ〜、ぼちぼちですね。」
「そっか。」
「そろそろ新歓の時期ですね。なんというか、今の1回生が主体になるんですよね〜」
「何か言いたげやな。」
「いや、別に。ただ、僕たちの代よりもちゃんとしたリーダーがいいなと。」
「そうか?今のやつもしっかりしていると思うけどな。」
「まあ、どうだか、、、」
さっきからまだ何かを言いたげな感じだった。だいたい言いたいことはわかる。
おそらく、、、
「僕がリーダーだったらもっとよかったと思うんです。」
「ほう。」
やっぱりそうきた。こいつがリーダーになりたがっていたのは前から知っていた。
結局違うやつがすることになってしまったが。
「だから、下の代のみんなにはちゃんとしたリーダーを決めて欲しいなと。」
「じゃあ、聞くけど、、、なんでずっとサークルに来てなかったん?」
「それは、行っても意味ないからですよ。」
「意味ない?」
「はい、だって他の人たちがやればいいし、リーダーも僕じゃないし、別にみんなに求められていませんよ。」
そういってガブガブとビールを飲む。まだ不満を持ったままだな、こいつは。
「だからや。」
「えっ?」
「だから、リーダーに選ばれなかったんや。」
「だから?いや、言っている意味がわからないんですけど、、、」
「結局お前は、みんなに必要とされたいからリーダーになりたかったんやろ?」
「違いますよ!言ったじゃないですか、僕がなった方がうまくいきそうだからって。」
「いや違うな。だったら今でも一生懸命サークルのためにやってる筈やん。
リーダーになろうが、ならまいが、自分ができることをきちんとしているはず。
でも、あれだけ1回生の時に活発にしていたお前が、リーダーが他のやつに
決まった途端、やる気がなくなって、参加しなくなるってことは、
お前はチームのためじゃなくて、自分のためにやりたかったってことじゃないん??」
少し声を荒げてしまった。幸いにも飲み会で暴れている数人のおかげで声はかき消された。
「チームのため、って本当に思っているんなら、どんな役職についても、
いや、たとえつかなかったとしても、自分ができることをやれたんちゃうかな?
お前はみんなに必要とされたいからリーダーになりたかった。
そして、その下心はどこかでみんなに伝わる。
だからリーダーに選べれなかったんやと思うけど、、、」
相手はさっきから黙ったままだ。図星だったのだろう。
「はい、、、そうかもしれないです、、、」
声が小さくてほとんど聞き取れない。
「まあ、別に自分を責める必要はないで。誰だってあることやし。
大事なのはその自分の心を知って、じゃあこれからどうするかってことちゃうかな。
絶対に今の自分と過去の自分を否定すんなよ。
それも大事な成長のプロセスなんやからさ。」
そういって持っていたビールを飲み干す。
「さ、飲み直そうぜ、せっかくの忘年会やのにしんみりしてたらもったいない。」
「そうですね、、」
「あの、すみマセーーーン。注文いいですか?」
そういって大好きなウイスキーを頼む。
少し強く言いすぎてしまったか。ケアをきちんとしてあげないと、、、
まあ「忘年」するくらい飲めばいい話なんだけどな、、、、笑
まだまだ忘年会は始まったばっかりだ。
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