この物語は続きです
《物語》ある大学生講師と生徒〜講師編①〜
あー、うざい
いますぐ家を出て行きたい
ミンミンと外で声が聞こえる。本当にうるさい。だから夏はキライだ。
俺の名前は神谷。今年で中学3年生になるわけだが、いままでほとんど勉強もしてこなかった。だから高校受験なんてまともに考えたことない。
親は昔っからヤイヤイ勉強しなさいとうるさくて、それが嫌で中学から勉強をしなくなった。小学生のときは結構楽しくしていたのに。
「いつまでダラダラしてんのよ、さあいくわよ!」
あー、そうだった。今日は塾にいく日だ。おれを見かねた母さんは塾に通わそうとしている。誰がいくか!
「もうなにやってんのよ、早く来なさい!」
こいつは本当にうるさい。勉強、勉強と勉強の話しかしない。まあいい、適当に行って早く終わらそう。
塾は思ったより大きなものではなかった。もっとすごいものを想像していたのにしょうもない。説明だけ聞いてさっさと帰るつもりだった。なのにあの野郎はもう今日中に契約を結んでしまいやがった。まじありえない。
「明日からここの塾で勉強するのよ。」
「はあ?誰がこんなちっぽけなとこで勉強できるんや。」
「あんた、失礼でしょ!塾長さんに謝りなさいよ!」
「まあまあ、お母さん。気にしていないから大丈夫ですよ。」
となだめる塾長。このばばあはどこにいってもうるさい。結局ここの塾に通わされることになった。こんなところで俺は絶対勉強しねぇ
翌日、俺は塾に来た。当然勉強するわけもなくずっと寝ている。先生は何度も俺を起こそうとするがなにをしたって無駄だ。とうとう愛想を尽かしたようだ。
何日か経ったらもう既に俺は問題児扱いされてきた。あの生徒は手に負えないと先生が言っていたのを聞いた。それでいい。手に負えなくなったら親に連絡してそしたら、こんなくだらない塾に来なくて済むようになるだろう。どうせ誰一人おれを普通の生徒と思っていないんだから。
ここ2週間、いろんな先生が代わり代わりにやってきた。けれど、どの先生も最初だけおれを起こそうとして諦めたかと思うと知らんふり。
みんなおれに手を焼いているようだ。さっさと親に報告したらいい。そしたらおれはこの塾をやめられる。
先生の思っていることくらいすぐわかる。授業の前におれを見るたびに、顔には出さないが嫌そうにするあの感じ、すぐに態度でわかる。まあおれが先生ならこんな生徒なんか嫌だろう。
「神谷くん、起きて勉強しよーや、今やらないと後でこまるで。」
「何にこまるん?」
「将来にや!将来勉強したほうが良かったなって後から気付いても遅いんよ。」
「じゃあ、どう役にたってるん?具体的に言ってよ。」
「それは、、、」
結局こうなる。なんやかんやいって俺に勉強させたいたいだけなんだ。そのための口実ならいくらでも作れる。そんな雰囲気にあきあきしていた。
正直いうと塾に行かないとかいいながら楽しみにしていた自分がいた。また小学生のときみたいに普通に楽しく勉強できるんじゃないかって。
でも甘かったみたいだ。なんにも変わらない。
くそっ。いっそのこと学校とか塾とか潰れてしまえばいい。
そんなふうに思っていた。でもこの時のおれは知らなかった。まさかおれのこの考えが180度変わることになるとは、、、
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