彼と出会ったのは1年前。
はっきり言って最悪の出会いでした。
「どうでもいいわ」
とまるで勉強に興味を抱かない。
というか、どちらかというと反抗気味?
また生意気な中学生を任されたな〜と思いつつその子を担当しました。
その頃はちょうど僕が留学から帰ってきたくらいで
それまでは別の先生が担当していたそう。
でも手に負えなかったらしいんですよね。
いざ授業をしてみると、勉強しないし先生バカにするし
いきなり寝だすし、かといったら怒るし、、、
喜怒哀楽が激しく、機嫌を損ねるとすぐに問題を起こしていました。
僕が休みの時は他の先生が担当していましたが、
そこではバチバチに言い合いが始まって、結局嫌な雰囲気のままだったそうです。
なんとかしないとな、と思って
僕は全て変えました。
180度変えた。
普通なら寝ていたら先生が起こすし、
遅刻したら宿題が増えたり、授業が居残りになったりする。
でも、僕はそれを一切しないで、
ずっと彼の横でポツンと座っていました。
何も言わず、ただただ彼の横にいた。
もちろん他の生徒もいるので、他の生徒に
しっかりと教科を教えつつ、問題を解いている間は
彼の横にいました。
個別塾なんで。
初めは授業全部寝たこともあったし、
ずっとぼーっとしている時間があったのですが、
少しすると段々と自分から勉強に向き合ってくれるようになりました。
それに加えてできる限り相手の話を聞く。
何があったのか
どんなことがあったんのか
今どんなことにイライラしているのか
親との関係はどうなのか
友達との関係はどうなのか
好きなものって何か
そんなものを聞いて話を膨らまして、
はっきり言って授業ではなくおしゃべりでした。
でも、これは彼にとって必要だと思ったんです。
彼がよく言っていました。
「先生なんてどうでもええねん。
どうせみんな一緒やねんから。」
その言葉に僕は何かを感じたから、
ひたすら彼と向き合うことを決めたんです。
そうすると段々と心を開いてくれるようになりました。
その時は塾長と一緒に喜びました。
ずっと塾長と、あーでもない、こーでもないと
悩んでは解決策を探して議論していました。
一番の決め手は、僕が作った彼専用の問題だったのかもしれません。
彼は数学が苦手で、特に証明問題がダメでした。
だから彼オリジナルの問題と
解説を一から作り直し、それを彼に渡しました。
それまで反抗的だった彼だったのが言った一言。
「こんなことされたら俺も頑張らなあかんやん、、、」
その時の顔を未だに覚えています。
それから何かが変わった気がしました。
とまあ、そんな感じで彼も3年生になったんですが、
そこからも苦悩の連続ww
まだまだ喜怒哀楽の激しい彼は、ことあることに落ち込んで
怒って、授業に影響して、、、、
まさに気分屋とはこのことだ!って感じです笑
それをダメとも言わず、いいとも言わず
ただそんな彼を見守る。
そして、
「落ち着いたら声をかけてな。」
と言って決して勉強を強制させることはしませんでした。
それがベストなやり方かどうかはわかりません。
塾の講師なのに勉強させないなんて何事だ!と思う人もいるかも知れません。
でも、メンタルがしんどい状況でやっても伸びないし
逆に、勉強=嫌なもの、として認識して欲しくなかった。
だから本人が納得いくまで自分の気持ちに向き合ってもらって、
そうすることで新しい一歩を進める、と思うんです。
これ口で言うのは簡単ですが、
なかなか実践難しいですよね。
ついつい口を出してしまいがちだし、
勉強させずに帰すなんて塾長に怒られないかな、とか
本当にこの生徒のためになるんだろうか、とか
いろいろと考えてしまうんです。
これは生徒だけではなくて、親子関係でも同じ。
あるいは上司と部下の関係でも変わりません。
でも、人は思っているほど弱くはないと思っています。
すでに解決できる力を持っている。
あとはそれをどれだけ引き出してあげるか
その機会を与えれるか
そんなことができる環境を作れるか
そこが大事だと思います。
落ち込む時はどんと落ち込んだらいいし、
沈んでいる時は思いっきり沈んだらいい。
そんなこんなしていたら、
気づいたら勝手にその生徒は勉強を始めていました。
あれだけ勉強が嫌で寝てばっかで、喜怒哀楽が激しかった彼は
自分で目標を立てて、自主勉強をして、
土日も塾で一人で勉強をしていた。
そして先月の高校入試で見事第一志望合格!
ふーって安心と同時に、
いやー、一年あっという間やったな〜と。
まあ、彼も成長しましたが、一番は僕が成長したなと思います。
自分の在り方がめちゃくちゃ問われた、
そんな一年でしたね。
で、今は新しい生徒を受け持って一年が始まろうとしています。
(てか、もう始まってますねw)
今年もどこまでやっていけるのか、楽しみです。
それでは!
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