周りと同じことしかしてないのに嫌われる後輩、好かれる後輩の違いとは?

【この物語はフィクションです】

今日はサークルの1、4回コンだった。

久しぶりに幹事をしてなんとかみんなが集まってくれてホッとしている。
途中で暴れた奴もいたが、まあそんなことは大したことではない。

これからは二次会に行くか、ボーリングか、カラオケか、各自各々好きにしてくれたらいい。

そう思ってこっそり帰ろうとしていたら、一人の後輩に声をかけられた。

「先輩、すみません、、、」

「どうした?」

みると、大学でも度々会う子だった。何度か話したことがあり、気にかけている子ではあった。

「ちょっと相談事があってきたんですけど、ちょっといいですか?」

帰るつもりだったが、まあいっか。

「まあ、すこしなら。」

「ありがとうございます!」

顔が一緒明るくなったが、また暗い顔に戻っていく。

「実は先輩との関係で悩んでいて、、、」

「ほう。」

「なんか、他の一回生とほとんど同じことしかしていないはずなんですけど、なぜか二回生から嫌われるんです。」

「まあ、そうだろうな。」

「えっ? そうだろうなってどういうことですか?」

「ま、まあ落ち着け。それよりもっと具体的な話はないのか?」

「んーっと、例えば、いじられキャラの先輩がいて、友達がいじったりする時があるんですけど、

僕がいじったら怖い顔をされるというか、無視されるんです。」

「他には?」

「他には、、、そうですね、なんか他の一回生と上回生がはしゃいでいて、

僕も一緒にはしゃごうとしたらシラけるというか、なんというか、変な空気になるんです。」

「ははっ、まあそうだな。」

「なんですか、さっきから。何か知ってるんですか??」

「知っているというか、何が起こっているかはわかる。そしてその結果は当然の事だと思うよ。

だから笑ったんだ。」

「僕に問題があるってことですか???」

「まあ、そうだ。たとえ友達と同じことを言ったとしても、お前の場合、他の人と同じじゃない。

全くもって違うことをしているんだ。」

「全くもって違うこと、、、」

「ああ。もっと自分の気持ちを観察してみたらいい。

自分が先輩をいじる時にどんな気持ちで言っているのか、

どんな心持ちで話しているのか。それがわかればいいんだが、分かんないから俺に話しにきてるんだよな。」

しばらく無言が続いた。何か考えているようだが、おそらく答えは出てこないだろう。

「やっぱりわからないです。」

「まあ、そんなもんか。じゃあ聞くけど、何でその友達がその先輩をいじったらお前もいじるんだ?

何で友達と上回生がはしゃいでいたら、自分もそこに入りたいんだ?」

「そりゃ、みんながしているからです。あとは楽しいし。」

「それだけか?」

「いや、それ以外には特に、、、」

「まるで自分のことがわかっていないな。そんな理由でしているんじゃない。

簡単にスパッと言っておこう。

お前はお前のために先輩をイジリ、お前の利益のためにはしゃいでいるんだ。」

「、、、、僕のために、、、」

一瞬顔が曇る。しかしまだピンときていないようだ。

「俺は今までお前の行動を見てきたが、どれもすべて自分のため。自分の利益のため。自分の体裁のために行動していた。

先輩をいじるのもそう。なんで先輩がお前のイジリを無視するのか、それは力を感じたい、という思いが内側にあるからだ。」

彼は黙ったままだった。

「どこかで先輩をバカにしていたり、いじることで力を感じたかったり、

あるいは、はしゃいでいる輪に入ろうとするのも、みんなと楽しくしたい、が本音ではなく、

みんなと、上回生とはしゃいでいる自分が好き、ただそれだけ。

そんな空気を、そんな意図を人は察知をする。それを言葉にできなくても、雰囲気でそれが伝わってしまう。

全ては自分のため。その思いで行動しているから、たとえ他の人と同じことをしていても、

全く違う結果になる。」

その後輩はまだ黙ったままだった。

「先輩に敬語を使わない人もこのタイプが多い。

先輩にタメ口を使っている自分がすごい、それだけ俺は先輩から好かれているんだ、

愛されているんだ、対等なんだ、と思いたいからタメ口を使う。

もちろん、仲が良くなってお互いがいいっていうならそれは構わないが、

誰にだってそう接するのはそこにそういった意図があるからだよ。」

一旦間を空ける。
数秒ほどしてようやく口を開けた。

「ぼく、最初に先輩に言われた時、それは違うなって思ってたんです。

でも、聞いていくうちに、高校の時を思い出して、そういえば部活の監督にも

同じようなことを言われたのを思い出しました。あの時は、何言ってんだ、としか

思ってなかったんですけど、今わかった気がします、、、」

声がだんだんと小さくなってくる。

「ぼく、いつも自分中心だったんですね。昔、嫌われてたから、大学ではできるだけみんなと同じことをして

好かれようとしてたんですけど、結局何も変わってなかったです。」

「行動を変えても一緒なんだ。大事なのはその行動をしている時の気持ち。

行動を変えても内側が変わらなかったら結局同じことの繰り返しでしかない。

でも、今日のは大きな一歩じゃないか。」

「えっ、、」

「だって今まで気づかなかったことを気づけたんだろ?

それって成長したってことだよ。今の自分を責めるんじゃなくて、

成長した自分を愛してあげて、また成長したらいい。」

時計を見ると11時を超えていた。やばい、終電に間に合わなくなる。

「おっとっと、もう終電の時間だから帰るぞ。じゃあ!」

そう言って急いで駅に向かう。
人はいつだって変われるし、いつだっていい方向に向かえる。

「ありがとうございました!」と後ろから大きな声が聞こえた。

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