先輩に奢ってもらいたいなら、奢ってもらいたいと思わないとこから始める

【この物語はフィクションです】


最近後輩が増えてきた。

4回生にもなると、友達より後輩の方が多いんじゃないかというくらいだ。
でも、今日は友人と焼肉を食べに来ている。

肉を焼いている間、隣の席の人たちの様子を観察していた。
暇な時はよくやってしまう、、、完全な癖になっている。


その席には大学生らしき男女が2人ずついた。
話からして後輩が3人。男が先輩らしい。


4人は楽しそうに会話をしている。というか、この先輩はよくも1人で後輩を3人も連れてこれたなと感心している。
俺にはそんなことはできない、、、


「今日は先輩のおごりですね〜」


と軽い調子で2人の女の子が会話をしている。

俺なら奢らない、と思っていたらその男はまんざらでもないようで、了承しようとしている。
ただのカモだ。


「うわ〜、さきちゃんといたらすぐ金なくなっちゃうよ〜」


そういいながらも嬉しそうにする先輩。
後輩の財布係担当ですか???


「なあ、あいつらどうおもう?」


急に友人のリョウが話しかけてきた。どうやら彼も隣の席の話を聞いていたようだ。


「後輩はおごってもらう目当てで、先輩は金で後輩を釣っているんだから、まあ需要と供給が成り立ってていいんじゃないか。」


「まあ妥当だな。」


そう言ってリョウはそのまま肉を焼き続ける。


「まあ、お前ならあんなことはしないだろう。」


「そら、そうだ。あの男みたいに力を感じたいとは思っていない。」


リョウは頭がいい。すぐ人を分析してその奥底にある心理を探り当てる。


「あの男は自分を見失っているんだろうな。自分に自信がないというか、それで足りない部分を

後輩におごることで自尊心を高めて埋めているんだろう。」


鋭いな、そう感じた。
こいつといると心が見透かされている気がしてならない。


「その人の顔の表情、目線、足の動き、話し方、手の動かし方とかで大体思っていることはわかる。

あの女もその横の女も、奢ってもらって自分は金を払いたくない、という雰囲気がにじみ出ている。

もう一人の男はそんなことは全く思っていないようだが。」


今日も分析が光る。本当に敵にまわしたら厄介だ。


「でも、あの先輩は気付いていない、、、と。」


「まあ、自分のことが見えていないからな。

ただ、普通の人ならなんとなしに雰囲気を感じ取って不快になるもんだよ。」



「さすがだな、、、。そういえば、リョウは先輩からおごってもらったことは?」


あんまリョウが年上の人と絡んでいるところを見たことがない。


「結構ある。」


「そうなのか??」


意外だった。リョウは先輩にそんな積極的に絡んでいく方ではない。
それに特別かわいがられる部類ではないとは思うのだが、、、


「思いもしなかった、って顔しているな。別に俺はおごってもらいたいなんてことはひとつも思っていない。

ただ、それでもおごってもらえるってのは、ちゃんとした理由がある。」


「理由って、、、?」


ギブしたらいい相手にエネルギーを送ってやったらいいんだ。」


「エネルギーを送る?循環させるってことか?」


「まあ、そうとも言えるな。」


なるほど、話はなんとなくわかる気がする。


「基本的には先輩ってのは知識もたくさんあるし、経験も豊富だ。同じ土俵では敵わないことはある。

でも、そんな中でも自分の得意とする分野で相手に価値を与えられたなら、

それは相手にとってとてもためになるものになる
。それがエネルギーを与えるということ。」


「例えば?」


「そこは自分で考えろよ。」


「え〜〜〜」


リョウはたまにこういうところがある。全てを教えず、相手に考えさせる。
こいつが一旦このモードに入ってしまったら、もうこれ以上は何も教えてもらえない。


「まあ、俺は何とかなるだろうけど、読者の人にはなんて説明すんだよ。」


「読者? 何を言ってるんだ。今俺らは2人で焼肉しか食べてないぞ。」


「はいはい、何もないですよ。」


リョウは自分がブログの中の登場人物だということがわかっていないらしい。
まあ、みんなを信頼して、みんなの考えに任せることにしよう。


「もう焼けてるぞ、さっさと食べろ。」


「はいよ〜〜〜」


さてと、読者のことなんか忘れて、焼肉を堪能するか、、、




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